ボールペンの歴史を詳しく解説!生まれた年は?日本に伝わったのは?

みなさんの生活に欠かせない「ボールペン」。仕事や家事、勉強などでボールペンを使わない日はない、というくらい私たちの生活に深く浸透しています。

しかし、意外と知られていないのがボールペンがどこで、どのように開発されて進化を遂げ、今の様に広まっていったかということです。

今回はそんなボールペンの歴史について、詳しく迫っていきたいと思います。




ボールペンが生まれる前は?

ボールペンは、日常のさまざまなシーンで使われる筆記用具の主役的な存在です。

役所や店舗で書類を記入する際には、必ず設置されていますし、ご自宅にボールペンがないという方はいないのではないでしょうか。

ではそんなボールペンが誕生する前は、人々は何を使って筆記していたのでしょうか?

実はボールペンが登場する前は、「万年筆」が筆記用具の主役でした。

万年筆の原型は、今から約1000年以上もさかのぼる953年にエジプトのファティーマ朝で生まれたと言われています。

そのあと、1809年にイギリスのフレデリック・バーソロミュー・フォルシュが現在の万年筆の原型となるペンの特許を取得。

日本では1884年(明治17年)に横浜のバンダイン商会がアメリカ製万年筆「カウス・スタイログラフィックペン」を輸入し、販売を開始します。

万年筆は、ボールペンが台頭する1960年代までは確固たる地位を築いていましたが、1970年に公文書においてボールペンの使用が認められてからは、一般的な筆記用具ではなくなってきます。


ボールペンの誕生

そんな万年筆にとって代わって、現在まで台頭するのが「ボールペン」です。

ボールペンは、1884年にアメリカ人のジョン・ラウドによって初めて発明したといわれています。

しかしながら、当時発明されたボールペンはインクの粘度が低かったために「インク漏れ」が酷く、長期間にわたり使用できるものではなかったので、実用化されることはありませんでした。

実用的なボールペンの開発販売は、それから50年以上経過した第二次世界大戦中の1943年に、ラディスラオ・ビロ(László Bíró)という人物によって行われます。

中央ヨーロッパに位置するハンガリーで、新聞の校正係であった彼は、新聞印刷に使用されているインクが、他のインクよりも素早く乾きそして滲みにくいことに気がつきました。

このインクをメモや手紙を書く際などにも転用できないかと考え、試行錯誤を開始します。

最初に、万年筆に新聞用インクをつめてみたものの、粘度が高くペン先までインクを染みこませることができませんでした。

そこで液体が細い管状の物体の内部を上昇・加工するという現象を利用し、再度開発を行います。

その結果、高粘度インクを先端のボールで引き出す現在のボールペンの原型が完成しました。

ボールペンの世界への広まり

ラディスラオ・ビロによって開発されたボールペンは、瞬く間に世界中へと広まっていきます。

彼は1943年にアルゼンチンで特許を取得、会社を設立し「Birome(ビーロー)」というブランドで販売。

イギリス空軍が「万年筆よりもインク漏れしにくい」「高い高度でも使用ができる」という理由でいち早く採用したという話もあります。

また1945年にはアメリカのエバーシャープ社やレイノルズ社が、ビロの特許を買い付け、ボールペンの量産化を開始します。このことによりアメリカ・ヨーロッパ・南米でボールペンは急速に広まっていきました。

レイノルズ社の開発した「ロケット」と呼ばれるボールペンは、12ドル50セント、現在でおよそ1万5000円程度する高価な商品でしたが、非常に人気だったようです。

その後、第二次世界大戦終了後には世界各国でボールペンの製造メーカーが誕生。このころには、インク漏れをおこさない高品質なボールペンが市場を占めるようになります。

現在でもボールペンの世界的シェアを誇るフランスのBICは、1950年に使い捨てのボールペンを非常に安価な価格で販売しています。

ボールペンは高級品から、誰もが使える日常品へと変化を遂げていきます。

またインク漏れがほぼ起きないことや、滲みが少ないことから1970年代には公文書での使用が可能なりました。

ボールペンの日本での広まり

日本には、第二次世界大戦後(1945年~)に来日した米軍が使用していたことがきっかけで広まったと言われています。

1947年にはボールペンを普及させるキャンペーンの一環として、飛行機から明治神宮(旧青山練兵場)にばらまくといった演出がなされることもありました。

当時の映像などは残っていませんが、今考えるととても異様な光景だったと思われます。

そんなこともあり、ボールペンの人気を上昇。すぐに日本国内での生産が開始されますが、「インクが出ない」「インク漏れがひどい」など粗悪品が多く、とても使えるものではなかったようです。

しかしその後、1949年に国内メーカーであるオート社(OHTO/AUTO)が鉛筆型のボールペン「オートペンシル」を開発。実用性の高い初めての国産ボールペンの誕生と言えるでしょう。

また引き続いて1960~70年代にかけてプラスチックボディの安価なボールペンが各社から発売。手軽に手に入れることができるようになったため、職場や学校などで多く使用されるようになりました。

そこから現在に至るまで。日本国内でのボールペン開発の技術力の向上はすさまじく、今では世界を代表するボールペンの先進国になっています。

ボールペンの年表(国内メーカーの発展)

年代 できごと
1945年 在日していた米軍が使用していたことからボールペンが日本に伝わる
1947年 アメリカからのボールペン普及キャンペーン団が日本に立ち寄り、宣伝。
1949年 オート社が実用性の高い国産ボールペン「オートペンシル」を開発。
1958年 トンボ社初の鉛筆型ボールペン「クラウントンボ」を20円で発売。
1959年 三菱鉛筆社とゼブラ社(旧石川ペン先製作所)がボールペンの開発に成功し、販売を開始。
1962年 オート社がノック式のボールペンを考案し、発売。
1965年 パイロット社が耐摩擦性に優れたステンレスチップ採用のボールペンを発売。
1966年 ゼブラ社がインクの見える透明軸のボールペン「クリスタル」を発売し、大ヒット。
1969年 三菱鉛筆社が純黒(まっくろけ)ボールペン「BA-30」を発売、それまで青インクのボールペンが主流だった為、大ヒット。
1977年 ゼブラ社がシャープペンシルとボールペンを一体化した「シャーボ」を発売。
1978年 オート社がゴムグリップ(グリッパー)付きのボールペンを発売。

水性ボールペンの誕生

国内で初めて高品質ボールペンを開発したオート社は、1964年に「水性ボールペン W」の発売も開始します。

油性のボールペンとは異なる軽い書き心地を実現。発色性の良さから多彩なボールペンの発売がされることになります。

「水に濡れると消えてしまう」「乾きが遅い」などのデメリットもありますが、万年筆に似た書き味ながら、インクのつまりが少ないことから欧米を中心に人気を獲得します。

ボールペン年表(水性ボールペンの発展)

年代 できごと
1964年 オート社が国産初の水性ボールペン「水性ボールペン W」を発売。
1972年 ぺんてる社が水性ボールペン「ボールぺんてる」を発売。
1979年 三菱鉛筆社が水性ボールペン「ユニボール」を発売。

ゲルインクボールペンの誕生

油性ボールペンと水性ボールペンの良いところどりと言われるのが、このゲルインクを採用したボールペンです。

1984年に国産メーカーのサクラクレパスによって開発されたのが最初です。

静止状態ではゲル状のインクがボールの回転によって水のようになり、紙面に付着した瞬間、ふたたびゲル状になるため、軽い書き心地で滲みにくいといメリットを持っています。


消せるボールペンの誕生

ボールペンの特徴である「消えない」という点を覆す画期的なボールペンも発売されています。それが消せるボールペンです。

2002年に三菱鉛筆が消しゴム付きの「ユニボール シグノ イレイサブル」を発売。紙面の表面に残った顔料を専用の消しゴムで削り取ることで、書いた文字を消すことを可能にしました。

また2007年には、ご存知の「フリクションボール」がパイロットから発売。65度以上の環境においてはインクが透明になるという特殊なインクを使用することにより、全く異なる原理で「消せるボールペン」を実現しました。

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